LHC-ALICE 実験は、スイス・ジュネーブ近郊のヨーロッパ共同原子核研究機構(CERN, セルン研究所) にある世界最大のハドロン衝突型加速器 LHC (Large Hadron Collider) を用いて重イオンを加速、 衝突させ、ビックバン直後の宇宙初期に存在していたとされる物質相「クォーク・グルーオンプラズマ(QGP)」 を生成し、その性質の解明を目的としている実験です。ALICE の名前の由来は、”A Large Ion Collider Experiment” です。その名の通り、LHC 実験の中で唯一高エネルギー重イオン衝突に特化した実験チームです。
ALICE実験は41ヶ国、159研究機関、1600名の研究者(2016年3月現在)からなる 大型国際共同実験です。2009年よりLHC加速器が稼動し、ALICE実験は陽子・陽子衝突 (900 GeV, GeV: ギガ電子ボルト 10^9 eV) の最初の物理データを収集しました。翌2010年、2011年にはそれぞれ、核子当たりの中心衝突系エネルギー 2.76 TeV (TeV, テラ電子ボルト 10^12 eV)での鉛-鉛原子核衝突に成功しました。その後ALICE実験では、LHCエネルギーで生成された高温物質に関する研究成果を次々に発表しています。今後は、更なるデータの蓄積と解析により、QGPの性質解明がさらに進み、宇宙初期の状態や高温極限での物質の性質が明らかになることが期待されています。(ALICE-J HPより引用)