[高エネルギー物理学研究室]

この研究室で勉強できることは?

研究室全体の研究内容

保守のため鉄ヨークを開けたBelle測定器 データ収集中のBelle測定器制御室の様子

高エネルギー加速器研究機構(茨城県つくば市、略称KEK)におけるBファクトリー共同実験(Belle実験)に参加し、精力的な研究を行っています。この実験は、ボトムクオークを含む中間子であるB中間子の崩壊過程における粒子と反粒子の間の物理法則の違い(CP非保存)を測定することが最大の目的です。また、同時にほぼ同じ量が生成されるタウレプトンの崩壊過程も興味深い研究対象です。大学院生以上のメンバーは、装置の運転当番(シフト)をしたり、測定器の較正に従事するほか、各自のテーマに応じて蓄積されたデータを解析するプログラムの作成と実行にいそしむ毎日を送っています。同時に、粒子検出器の性能改良、新しい検出器の開発に関わる実験も行っています。

PHENIX実験でのデータ収集の現場

国外では、ブルックヘブン国立研究所(BNL)でのPHENIX実験 や、欧州原子核研究機構(CERN)での ALICE実験 にも参加しています。これらの実験は、加速器を用いて原子核どうしを衝突させ、その結果生じる新物質(クォーク・グル―オン・プラズマ(QGP))の性質を研究しています。どちらの実験も大型の国際実験なので、世界各国から研究者が現場に集まり、研究がなされています。大学院生以上は実際に現地に赴き、一流の研究者の方々と一緒に最先端の物理に取り組んでいます。



4回生で勉強できること

60Co線源を用いたγ線測定の様子 エレクトロニクスのセットアップ例

4回生になって研究室に配属されると、
  • 高エネルギー物理学のゼミ(輪講)
  • 卒業研究(実験)
の二つを行います。ゼミは高エネルギー物理学の入門的な英文テキストの輪講を週二回のペースで行っています。
卒業研究は、「自分たちの手で検出器を作って実際に素粒子を検出し、ハードウエアとソフトウエアの両面にわたって基礎的な実験技術を身につける」ことを主たる目的にしています。具体的なテーマは
  • 宇宙線中のμ粒子寿命測定
  • MPPCを用いたγ線検出
  • 60Co線源を用いたγ線角度相関の測定
などがあげられます。卒業研究はこちらのページで見ることができます。




大学院に進学後に勉強できること

大学院の博士前期課程(修士課程)では、大型共同実験(Belle実験など)のデータ解析を行ったり、粒子検出器の先端的開発研究を行います。これまでの修士論文はこちらのページで見ることができます。
大学院の博士後期課程(博士課程)では、大型共同実験(Belle実験など)の詳細な物理解析を行ったり、粒子検出器の最先端開発をグループの中心となって行います。査読つき論文(Physical Review、Physics Letters、Nuclear Instrument and Methodなど)を出版する=修士論文よりもさらに難度が高いレベルに挑戦することになります。これをクリアしたら一人前の若手研究者のスタートラインに立つ資格を得た、と胸を張りましょう。 これまでの博士論文はこちらのページで見ることができます。

最終更新:2016年7月27日